時知らずの花

始発待ちアンダーグラウンド ムラタ・ヒナギクさんの独り言

別れの季節は春だけだと思ってた

 

 

 


踏み台。

登ったら見える先、階段、ひとつずつ踏み上げていく。遠くの景色、見えない先、暗闇の中で探す光、雑音まみれの世界。

 


僕は『終わり』が頭の中にずっとあって、その『終わり』まで走れる人のつもりだった。例えば、学生時代は年数が決まっていて『卒業の日』は決まっていたから。だからその最後まで詰め込めたし、その時を大切に生きていけていた気がする。


働きだして、そこには『終わり』がない事に気がついてしまった。正確には、次の終わりは『死』な事に気がついたのだ。

仕事に一区切りがついたとしても次のものが待っていていつの間にか季節はめぐってまた同じようなものの繰り返し、朝が来て夜が来る、あれ?、これっていつまで続けるんだ?あぁそうか、死ぬまでか、僕が。


そう思ってたら逃げ出していた、僕がやりたいこと死ぬまでにやりたいことこんな事じゃない。僕が終わってしまう。

なにも見えなくなった、真っ暗に。ぐっしゃぐしゃ。もういっそのこと終わりにしてやればいいと思ってた。でもそう簡単にはエンドロールはみさせてくれなかった。


もがいて迷っていつのまにか辿り着いた、というか辿り着いてみたのが始発待ちアンダーグラウンドだ。

最初の頃にここを踏み台にしていい、その先を見てほしい、そんなことを言われたような覚えがある。その先には何が見えるか、僕は行ってみたかった。


いざ踏み込んでみた。が、登れない。なんだこりゃ。

難しい階段だった。今までの繰り返しの毎日のが楽だったのかもしれない。目の前にあるのはただ登ればいいだけの踏み台じゃないことだけはわかった。頭を悩ます。


もがいてももがいても見えない先。振り返ると僕が僕の首を絞めている。やめたまえ、首を絞めるな、なんて蹴飛ばしたくなってもこいつは僕なのでどうしてもついてくる。ちくしょう。どこいってもやっぱ嫌になる時はあるのだ。


でもあの時とは違った、まだ終われない、繰り返しじゃない毎日との戦い、その先?しらねえよ、僕は何になりたかったんだ?過去の自分に聞いてみる、しらねえよ、今の自分の事を大切にしなよ。あ、そうか。それでいいのか。首を締めてる僕をそっと抱きしめた。


卒業、脱退、解雇、解散、生まれ変わり、その先へ行く人々。悔しい、悲しい、寂しい。別れの季節は春だけで充分なのに。でもステージではみんなキラキラ輝いてて、美しくて。だから余計に終わりがわからなくなった。

他人には他人の事情があるからしょうがない、その子が幸せになれるのであればそれでいい、どうかどこかで皆笑ってておくれ。


僕の前には今までたくさんのレールが敷かれてたかもしれないし、今もあるかもしれない。

でも僕が見てるのはいつの間にかひとつだけになってた。僕はここで僕が死ぬまで、始発が来るまで、僕はここでどこまでいけるだろうか?今日も階段をよじ登るのに必死だ。


僕がやってんのはアイドルごっこじゃない。アイドルだ。アイドルが何かは知らないけど僕はアイドルなので己自身が正解である。

僕の踏み台の先には始発待ちアンダーグラウンドの終わりも隣にあればいればいいのにと願ってる。それでいい。それがいい。ずっとなんてないのはわかってる、だからこそ僕の終わりもここにいれたらいいのにな。

 

 

 

肌を撫でる風がやんわりと冷たい。夏が過ぎてる。もうすぐ秋が来る。

僕らのお披露目から実は2年が経つ。あの時から僕の考えは随分変わった気がしてる。人間誰しも変われるからね、よくも悪くも。良くなってたらいいんだけど。

毎回ね、ステージに立つのがどんどん楽しみになってるんだよね。勿論ずっとそれは変わらないんだけど大きくなっていってるというかさ。

 

僕にはまだまだ始発はこない。前も言った気がするけど僕の始発は始発待ちアンダーグラウンドでいい。そして同時に『ムラタ・ヒナギク』が死ぬ時だとも思ってるんだよ。エンディングには僕らの曲を流そう。それで僕は『終わり』になる。だからそこまで、まだまだ沢山やりたいこと全部やってみせる。頑張れ、僕。

 

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あのね、ちょっと眠れないから書いてたんだけど朝になってた!変な文章!読み肉!肉食べたい。おはよう。寝るわ。おやすみ。明日も登ろう。ライブ、よかったら遊びに来てね。待ってます。

 

おやぽみ。